「勝率80%超え」と聞くと、強そうに見えますよね。 でも今回、勝率80%なのに10年でほぼ1円も増えなかったEAの検証結果が出たので、そのまま公開します。
数字を盛らないのがこのサイトの約束なので、負けでも勝ちでもない「横ばい」という地味な結果こそ、正直に置いておきます。
何を検証したか
ある手書きのトレード手法メモを、そっくり完全自動のMT5 EAにしました。
- フィボナッチで押し目・戻りを判定
- そこに 38.2% → 61.8% → 100% と3段でナンピン(買い増し)
- フィボ1.25の拡張に届いたら利確
- 損切りは資金の1.25%まで
裁量で見ると「きれいな王道トレンド手法」に見えるやつです。 これを感情ゼロで、実際のレート(H4)・11通貨・10年分で回しました。
結果:勝率は高い。なのに増えない
まず、手書きメモ通り(トレンドライン抜けで仕掛け)だと、11通貨すべてマイナスでした。
そこからが本番です。エントリー条件・利確位置・トレンドフィルターなどを 54パターン総当たりでブラッシュアップして、一番マシな設定を探しました。 その「ベスト設定」がこれです。
勝率:78〜85%。なのに10年の成績は、年+0.1〜0.7%。ほぼ横ばい。

グラフのとおり、勝率が高くても線はほとんど上に伸びません。 これがナンピン系EAの正体です。
なぜ「高勝率なのに増えない」のか
① 勝ちは小さく、負けは大きい
ナンピンは「含み損を買い増して、少し戻ったら利確」する形なので、 小さな勝ちを何度も拾えます(だから勝率が上がる)。 でも一度ダメな時は、3段積んだポジションがまとめてやられる。 9回コツコツ勝って、1回でぜんぶ吐き出す——だから増えないんです。
② 高勝率は「強さ」ではなく「形」
勝率80%という数字は、手法が優秀な証拠ではありませんでした。 「勝率93%」を売りにするツールの正体と同じで、 ナンピンにすれば勝率は簡単に上がる。問題は、その裏に隠れた負けの大きさです。
③ 前半5年と後半5年で結果が裏返る
10年を前半・後半に割って、両方ともプラスだった通貨は11個中たった2つ(AUDJPY・EURUSD)。 しかもその2つも、年+0.3〜0.7%という誤差レベル。 残りは前半勝てば後半負ける、の繰り返しで、安定した優位性=偶然の範囲でした。
あえて「ここで止めた」理由
正直、もっとパラメータをいじれば、グラフを右肩上がりにすることはできます。 でもそれは過去に合わせて数字を盛る行為=カーブフィットで、 本番では通用しないことが分かっています。
だから今回は、「ほぼ横ばい・優位性なし」で正直に止めました。 自作EAが-631Rだった時と同じく、 「これは儲からない」と自分のデータで言い切れることが、いちばんの収穫です。
まとめ
- 勝率80%超のEAでも、10年でほぼ横ばい(増えない)ことがある
- ナンピンは勝率を上げるが、勝ち小・負け大で期待値はほぼゼロ
- 前半/後半で結果が裏返る=安定したエッジは無い
- 高勝率の数字より、退場しない設計のほうが何倍も大事
「勝率○○%」という言葉を見たら、まず「で、10年で資産は増えたの?」と聞いてください。 増えていないなら、その高勝率にはほとんど意味がありません。
※ 個人の検証記録です。特定の手法・ツールの将来の成績を保証するものではありません。