「8年分の美しい右肩上がりの実績」がある金のEA——これなら信用していいのでしょうか。ソースコードを直接解剖してPythonで完全再現し、実データ10.5年で検証しました。
ロジック(ソースを直接確認)
- 新しい足でRSI(14)が30以下なら買い、70以上なら売り(両方向を独立して保有)
- 含み損が出るとナンピン:値幅$12→$10刻みで3回→$20刻みで6回、最大10段
- ロット倍率は1→1.5→2→3→4.5→6.1→9.2→13.8→20.7→31.1と段階的に増加(11枚合計で初期ロットの93倍)
- 利益確定は1枚+$5、またはバスケット全体で+1200pt。損切りはデフォルトで設定なし
結果:8年+190%のあと、1日で全損
$10,000スタート・レバレッジ500倍・実勢スプレッドで検証(デフォルト設定=損切りなし):
| 年 | 資産推移 |
|---|---|
| 2016 | $8,390 |
| 2019 | $17,406 |
| 2020 | $25,307 |
| 2021 | $28,977(+190%) |
| 2022 | $27,036 |
| 2023 | -$657(12月3日に全損) |
8年間、資産は右肩上がりで増え続けました。しかし2023年12月、金相場が史上最高値を更新した瞬間、それまで積み上がっていた売りポジション(グリッド)が全部焼かれ、1日で口座がマイナスになりました。スプレッドを2倍にしたストレステストでも同じ日に破綻しており、「コストの問題」ではなく「構造の問題」だと分かります。
試しに損切り10%を追加してみても、結果は改善しませんでした。むしろ損切りが早く発動しすぎて2022年2月に資金が枯渇しており、幅の設計が広すぎるグリッド系には、単純な損切り追加はむしろ逆効果でした。
開始時期を変えた41通りでも、41通り全滅
3か月ごとに開始時期を変えた41パターンを検証したところ、41パターン全部がどこかの時点で全損しました。生き残った期間の中央値は約2年(最短18日〜最長7.9年)。つまり「たまたま直近2〜3年勝ち続けている実績」がスクリーンショットとして本物であっても、それは全く矛盾しません。
この検証で分かった一番怖いこと
これまで検証した広告系EAは、破綻までの時間が数時間〜数年でした。今回は8年分の実績カーブすら、まったく信用できないことを初めて実証したケースです。マーチンゲール系の寿命は「ロット倍率×グリッド幅×トレンドの強さ」で決まり、たまたまその期間に致命的な一方向の値動きが来なかっただけ、というのが8年分の「実績」の正体でした。
まとめ
- ロジックはRSI逆張り+ナンピングリッド(ロット倍率は最大93倍まで拡大)
- デフォルト設定は8年間+190%まで増え続けたが、金の史上最高値更新で1日で全損
- 損切りを追加しても改善せず、むしろ早期に資金枯渇
- 開始時期を変えた41パターン、全て資産がどこかで消滅
「何年も勝ち続けている実績」は、まだ最悪の日が来ていないだけかもしれません。高勝率・グリッド系EAが一発退場するメカニズムと合わせて、実績の長さだけでは安全性を判断しないことをおすすめします。
※本記事は当ラボがEAのソースコードをもとにPythonで再現・検証した結果です。検証条件:XAUUSD 1分足(2016〜2026年・10.5年)、初期資金$10,000・レバレッジ500倍・実勢スプレッド込み。特定の販売者・商品を誹謗する意図はありません。