「1回のエントリーで15pips、利益60万円」——そんな実況スキャルピング動画を見かけたので、いつも通りEA化して実データで検証しようとしました。

結論から言うと、そもそもEA化できませんでした。理由は「中身が公開されていない」からです。ただ、公開されている部分だけでも組んで検証したところ、それはそれで全滅だったので、両方まとめて報告します。

動画を遡って分かったこと

エントリー根拠を確認しようと関連動画を3本遡ったところ、行き着いた先は決定的でした。

肝心のパターン解説動画で、本人が「これはYouTubeで言うことじゃないので言いません」と非公開を明言していました。

公開情報から拾えた骨格は、 - 4時間足で大きな流れを確認 → 1時間足で押し目 → 5分足で最終確認、という順張りのマルチタイムフレーム - 損切りは浅め、13〜20pips前後で即利確 - ボラティリティがある時間帯限定

という程度です。核心の「なぜここでエントリーするか」の判断基準はグループ限定のまま。

公開部分だけでも検証してみた

核心が無くても、公開されている骨格の解釈の幅を全部試せば何か見えるかもしれません。実ティック(bid/ask実スプレッド)10.5年分を使い、押し目回帰型とブレイク型、利確幅、損切り幅、ボラティリティフィルターの有無を掛け合わせた24パターンを機械的に検証しました。

構成 取引数 勝率 合計損益 プラスだった年
一番マシだった構成 1,622 37% -945pips 10年中1年
動画のプロフィールに近い構成 4,351 39% -1,840pips 10年中2年
別解釈(最良でも) 6,484 34% -3,748pips 10年中0年
一番悪かった構成 18,565 39% -12,613pips 10年中0年

24パターン全部マイナスです。1トレード平均の損益は-0.4〜-0.8pipsで、これはほぼスプレッド分。つまり「エントリーの優位性はゼロで、コストにそのまま削られているだけ」という結果でした。動画と同じ400万通貨で換算すると、一番マシな構成でも10年で約-3,800万円です。

なぜ「勝っているように」見えるのか

実況動画のカラクリはシンプルです。

「勝率6割・浅い損切り」なら、カメラを回し始めるタイミングを選ぶだけで「勝ち続けている実況」はいくらでも作れます。

まとめ

皮肉なことに、この手の動画で唯一正しいのは「ちゃんと検証しろ」という主張そのものです。その検証をやった結果が、この記事です。

購入・入会を検討する前に、まず実ティックで自分でも検証してみる手順を持っておくと、こうした実況動画に振り回されにくくなります。

※本記事は当ラボが公開情報のみをもとにPythonで再現・検証した結果です。検証条件:USDJPY実ティック(2016〜2026年・10.5年)、bid/ask実スプレッド込み。特定の個人・チャンネルを誹謗する意図はありません。