「勝ちやすい場所だけ狙えば月収30万円」——そんなうたい文句の販促動画シリーズを見かけました。第1回で基本ロジックを公開し、続きは有料講座へ、という王道の構成です。

公開されたロジック自体はシンプルで機械化できる形だったので、いつも通り実ティックでEA化検証しました。結論は、36パターン試してストレステスト後の生存0本です。

公開されたルール

チャートに表示するのは移動平均線とボリンジャーバンド(20)の2つだけ。15分足で、

  1. トレンド判定: ボリンジャーバンドの帯全体が移動平均線を上抜けたら上昇トレンド(下は対称)
  2. 押し目待ち: 価格がバンドの中央線まで戻ってくる
  3. エントリー: 価格が再び外側のバンドを超えたら順張り

ここまでは動画で明言されています。一方で、移動平均線の期間・決済ルール・損切り位置は非公開でした。「続きは講座で」という構成です。

非公開部分は「勝てそうな値」で全部補完した

非公開だから検証できない、では終わらせません。移動平均線の期間を4通り(50/75/100/200)、決済ルールを3通り(中央線割れ決済/1.5ATR損切り+2R利確/トレンド消滅まで保有)用意し、動画で使われていた3通貨ペア(EURUSD・USDJPY・EURGBP)に掛け合わせて36パターンを全部回しました。

データは直近3年の実ティック(bid/ask実スプレッド込み・往復0.2pipsのスリッページ加算)です。

結果

条件 プラスだった構成 最良の構成の中身
ベース 2 / 36 +311pips(PF1.07・1回平均+0.8pips)
スプレッド2倍ストレス 0 / 36 最良でも-179pips(PF0.96)

一番マシだった構成でも、1トレードの平均利益は+0.8pips。これはスプレッド変動で簡単に消える水準で、優位性ではなくノイズです。

さらに中身を年別に見ると、利益は大トレンドが出た1年に全部集中していて、直近2年はどちらもマイナスでした。「たまたま一方向に伸びた年なら勝てた」だけで、これはフォワードとバックテストが乖離する典型パターンそのものです。

動画が勝ちトレード例として使っていた通貨ペアに至っては、どの構成でも全滅(PF0.27〜0.53)でした。

なぜ勝てないのか

この手法のエントリーは「価格が外側バンド(+2σ)を超えた瞬間に飛び乗る」形です。つまり短期的に伸び切ったところを買うことになり、直後の平均回帰に往復コストを払い続ける構造になっています。過去に検証した海外のテンプレート手法群と、まったく同じ死に方です。

まとめ

購入・入会を検討する前に、実ティックで自分でも検証してみる手順と広告EAを見抜くチェックリストを先に読むことをおすすめします。

※本記事は当ラボが公開情報のみをもとにPythonで再現・検証した結果です。検証条件:EURUSD/USDJPY/EURGBP実ティック(直近3年)、bid/ask実スプレッド+スリッページ0.2pips込み。特定の個人・団体を誹謗する意図はありません。